山根村道路元標

 山根村は現在の水戸市山根地区です。中心地の全隈(またぐま)、そして開江(ひらくえ)、木葉下(あぼっけ)、谷津、成沢から構成されていたようです。地名をご覧になってわかるように、現在の水戸市には「山根」という地名は存在せず、市民センターなどのごくわずかな施設に名を遺すのみとなっています。

 現在の水戸市では山根地区がダントツの秘境となっており、高齢化率も市内で一番となっているようです。山根地区内唯一だった山根小学校も平成23年に閉校してしまい、山根小学校から3.5km以上の道のりを歩いた先にある双葉台ニュータウン内の学校に行かなくてはなりません。水戸市の公開情報によると、山根小学校は明治22年に開校した非常に歴史のあった学校のようです。現在は市内の学校法人が保育施設とカフェを併設した施設にリニューアルしました。

 さて、この道路元標は山根小学校からほど近い、旧茨城県道113号沿いにありました。かろうじて「山根村」の文字が見える状態で、商店の駐車場に残っています。もし商店に人がいたら隠れている部分も見たいと申し出たかったですが、さすがに辞めました。恐らく役場もあったこの場所が山根村で一番栄えていた場所なのでしょうが、並ぶのは営業していない店舗に、少し歩けば廃校。人口もわずかで高齢者の割合も多い。これが日本の山間地域の現状なのかと悲しくなりました。

 市としても最寄りの赤塚駅から山根を経由し、城里町役場のある石塚までの路線バス(石塚赤塚線)の開設などの努力をしているようですが、今後の動きに注目です。(ちなみに、山根を通るバスは国鉄バス(水都東線、後にJRバス)がありましたが、1992年の廃止以降、ずいぶんと長い間山根の中心地を通るバスはありませんでした。)


所在地:水戸市全隈町(山根市民センター近く)

撮影日:2022年5月2日

執筆日:2022年5月4日